キッチンにある水道のシングルレバーの交換手順や事前準備と注意点
シングルレバーとは、一つのレバーで水とお湯両方を調節し、流量や温度をコントロールできる水道です。
片手でも簡単に扱える操作性の良さから、今や一般家庭の水場で最も用いられている混合栓となっています。
毎日の生活に欠かせない水道ですが、実は消耗品です。
時間の経過とともに操作性も落ち、水漏れ等のトラブルが起こりやすくなってしまいます。
とはいえ、修理や交換を業者に依頼すると意外と高くつくもの。
ホームセンターやネットで売っている水道を買って、自分で交換できたらいいのにとお考えの方もいらっしゃるでしょう。
そこで今回は、キッチンにあるシングルレバー混合栓の交換手順や事前準備、注意点について解説していきます。
シングルレバーを交換する時期の目安、修理と交換のコストパフォーマンス比較、水栓タイプごとの交換方法について詳しくお伝えしていきます。
水栓の修理や交換をご検討の方は是非最後までご覧ください。
シングルレバー混合栓の仕組み
2つのハンドルを操作して水とお湯それぞれの操作を行う2ハンドル式に対し、1つのハンドルで水とお湯の両方を操作できるシングルレバー。
一体、どのような仕組みになっているのでしょう。
シングルレバー混合栓には、従来の単水栓や2ハンドル式にはない、バルブカートリッジと呼ばれる部品が内蔵されています。
バルブカートリッジはシングルレバー混合栓の心臓部と呼ばれるほど重要な役割りを持つ部品です。
バルブカートリッジの内部には丸い2つのプレートが内蔵されています。
このプレートは操作レバーとつながって連動しており、レバーの動きに合わせて流量をコントロールしています。
一つの操作レバーで温度の調節ができるのは、このバルブカートリッジが水とお湯の流量を調節し、希望の温度にしているからなのです。
シングルレバー交換時期の目安
水道には寿命があることをご存知でしょうか。
実は、一般的な耐用年数は10年程度と言われているのです。
もちろん、使用頻度が高いご家庭でしたらもっと早い時期に寿命がやってくるでしょう。
水道が寿命を迎えると、次のような異常が見られるようになります。
水漏れ
水道のトラブルで最も多い水漏れ。
これは耐用年数を過ぎると顕著に表れ始めます。
シングルレバー混合栓で水漏れが起こるのは、バルブカートリッジの不具合であることが多いとされています。
多くは樹脂製のため、摩擦等の影響を受けやすく、また経年劣化によって故障しやすいのです。
シングルレバー混合栓には他にも、何種類かのパッキンやナットなども内蔵されています。
ゴム製のパッキンは摩擦によって変形したり、経年劣化によって固くなるため、接続部分からの水漏れ原因となります。
操作レバーが固い
使用年数が経過するとレバーハンドルが固くなり、操作しづらくなるという異常も見られます。
これは、水道水のミネラル成分が隙間に固着するのが原因です。
汚れた手で触れることもあるハンドルですから、汚れが蓄積したり、錆によって固くなっているとも考えられるでしょう。
レバーハンドルがスムーズに動くためには潤滑油の一種であるグリスが欠かせません。
水栓は摩擦の生じる部品が多いため、レバーハンドル以外にもグリスが使われています。
しかし、使用期間が長くなるとグリスの効果は切れるため、摩擦によって様々な部品が影響を受けることになるのです。
蛇口がぐらつく
水栓本体にも壁や台との接続部分にも、ビスが使われています。
このビスが緩んだり、外れかけたりすることで蛇口がぐらつくといったトラブルが見られるようになります。
レバーの上げ下げで操作を行うレバーハンドルは、くるくる回して操作するキャップハンドル式に比べて、操作時に負荷が掛かりやすい傾向にあります。
指先ではなく手の甲で操作したり、腕でレバーを操作したことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
このような操作を繰り返し行うと水栓内部はもちろん、配管との接続部分など水道自体に大きな負荷が掛かってしまうのです。
ぐらつきを放置しておくと水道そのものだけではなく、壁や台、接続されている配管にまで悪影響を与えてしまうため注意が必要です。
水が出てくる蛇口部分の動作性も悪くて、ギシギシと音が鳴っています。
新しいものに交換するよりも部分的に修理した方が費用は安いでしょうし。
使用年数やトラブルの症状によっては、むしろ、新しい水道に交換する方が安く済む場合もあるのですよ。
次項では、修理と交換のコストパフォーマンスについてみていきましょう。
修理と交換 コスパが良いのはどっち?
10年以上使用し、異常が表れ始めた水道でも、不具合のある部品を交換する修理をすれば問題なく使える場合もあります。
しかし、新しいものに交換するよりも修理の方が安いとは限りません。
下記の表は、耐用年数を過ぎた一般家庭の水道が水漏れを起こした場合の修理費用と交換費用を比較したものです。
修理or交換 | 部品代 | 作業代 | 合計 |
---|---|---|---|
水漏れ修理 | 100円~6000円 | 3000円~ | 3000円~9000円 |
交換(自分で交換) | 4000円~6000円 | 0円 | 4000円~6000円 |
交換(業者に依頼) | 4000円~6000円 | 5000円~8000円 | 9000円~14000円 |
使用年数が10年以上経過した水道からの水漏れ修理では、バルブカートリッジ以外にもパッキン等の部品を交換する可能性が高いため、料金は更に高くなると考えられるでしょう。
水道交換作業を業者に依頼する場合、水栓の購入と交換費用をセットにすることで合計金額を安くしてもらえることもあるようです。
結論から言うと、業者に修理を依頼するのも、交換を依頼するのも、金額にそれほど大きな差がないということです。
しかし、自分で新しい部品を購入し、自分で交換作業を行えば、費用を大幅に抑えられます。
水栓器具はホームセンターやネットで手軽に購入できます。
最新式や機能にこだわらなければ、新品を1万円以下で購入できるでしょう。
10年以上経過していると部品自体が手に入らないことも
シングルレバーはどれも形が似ているから、メーカーが違っても中身は同じと思っていらっしゃる方も多いでしょう。
でも実は、内部部品のほとんどに互換性がありません。
比較的単純な構造の単水栓や2ハンドル混合栓は部品の互換性があるためホームセンター等でも部品を調達できるのですが、シングルレバーの部品調達は簡単ではありません。
修理用部品は、メーカー公式HPや水栓部品を扱うネット通販等でしか手に入れられないものがほとんど。
日々新しい製品が生み出されているため商品の入れ替わりが早く、10年前の製品の部品は既に生産終了となっているケースも少なくありません。
こういった点からみても、使用年数を過ぎた水道は、修理よりも新しいものに交換することをおすすめします。
10年前のものと比較すると使いやすさや節水効果もアップしていますから、交換することで便利に快適に使えるようになるでしょう。
事前準備さえできていれば、スムーズに作業を進められます!
シングルレバーを交換する前の事前準備
シングルレバーの交換で最も重要なのは事前準備です。
自宅の水道の形状に合うものを設置するために、取り付けタイプや口径を調べておく必要があるのです。
まずは取り付けタイプの種類とそれぞれの特徴について、下記表をご覧ください。
水栓の種類 | 台付きワンホール | 台付きツーホール | 壁付き混合栓 |
---|---|---|---|
取り付け穴の数 | 台に1つ | 台に2つ | 壁に2つ |
測るサイズ | 取り付け穴サイズ | 取り付け穴サイズ/取り付け穴心間 | 取り付け穴心間 |
一般的なサイズ | 35~39㎜ | 22~27㎜/102㎜または203㎜ | 105~225㎜ |
台付きワンホール
台付きワンホールのシングルレバー混合栓は、シンクの天板に1つだけ穴が空いていて、そこに水栓をはめ込むタイプのものです。
部品を購入する際は取り付け穴(穴の端から端までの長さ)を計り、サイズが合うものを選んでください。
台付きツーホール
台付きツーホールとは、シンクの天板に2つ穴が空いているタイプのものです。
2つの蛇口で水栓を固定します。
2つの取り付け穴サイズ(穴の端から端までの長さ)と取り付け穴心間(片方の穴の中心からもう片方の穴の中心までの長さ)を計り、両方のサイズが合うものを選んでください。
壁付き混合栓
壁付き混合栓は、壁の中にある給水管に水栓を直接つけるタイプのものです。
取り付け穴心間(片方の穴の中心からもう片方の穴の中心までの長さ)を計り、サイズが合うものを選んでください。
測り方によって数ミリの誤差が出ることもありますが、表に記載した一般的なサイズと大きく違わなければ問題なく取り付けられるでしょう。
仮に穴が大きすぎる場合は、水栓穴専用の変換アダプターを使うと通常規格のものを取り付けられるようになりますよ。
シングルレバー混合栓の交換手順
さて、ここからはシングルレバー混合栓の交換手順についてお伝えしていきます。
まずはその前に、交換前に用意すべき道具と必ずしておくべき準備についてです。
シングルレバー混合栓の交換には、次の道具が必要となります。
台付きワンホール | レンチ/ドライバー |
---|---|
台付きツーホール | レンチ |
壁付き混合栓 | レンチ/シールテープ/歯ブラシ |
取り付けるタイプごとに必要な道具が異なります。
スムーズに作業を進めるため、予め準備しておきましょう。
また、水道の交換作業を行う際は、必ず元栓を閉めてください。
戸建ての場合は敷地内にある水道メーターのボックス内に、マンションやアパートの場合はパイプシャフトの中にあります。
時計回りに回して閉め、水が出ないことを確認してから作業を開始してください。
台付きワンホールの交換手順
- 作業する水道の止水栓を閉める(ネジやハンドルを時計回りに回す)
- 止水栓のナットをレンチで緩め、ホースを取り外す
- 水道本体のナットをレンチで緩め、古い水道を引き抜いて取り外す(台座がある場合はそちらも取り外す)
- 交換用水栓取り付けアダプタ(台座)を取り付け穴に入れ、付属のボルトで固定する
- 交換用水栓を取り付け穴に差し込み、水栓の根元にあるネジで固定する
- 給水管に新しい逆止弁を取り付けたら2本の給水ホースを繋げ、ホースを止水栓と繋げる
- シャワーホースソケットとシャワーホースを繋げる
- 止水栓、元栓を開け、水漏れが起こっていなければ完了
給水ホースは2本、水とお湯があります。
取り付ける際は間違えないように気を付けましょう。
台付きツーホールの交換手順
- 作業する水道の止水栓を閉める(ネジやハンドルを時計回りに回す)
- シンク下にある給水栓接続ナット(2つ)を取り外す
- シンク下にある本体固定用ナット(2つ)を取り外し、古い水道を引き抜いて取り外す
- シンク下で、パッキンと座金を取り付け、ナットを締める(2つ)
- 4の下に給水管を接続し、ナットで固定する
- 止水栓、元栓を開け、水漏れが起こっていなければ完了
台付きツーホールは、シンクや洗面台の下で作業する形となります。
配管部分が収納スペースになっている場合は、ナットの固定等の作業がしやすいように懐中電灯などで明るく照らしながら作業しましょう。
壁付き混合栓
- 作業する水道の止水栓を閉める(ネジやハンドルを時計回りに回す)
- 水栓本体を固定しているナットをレンチで緩め、クランクから水栓を取り外す
- クランクを反時計回りに手で回し、取り外す(2つ)
- 歯ブラシで給水管の中を掃除し、拭き取る
- 交換用のクランクを配管に差し込み、時計回りに回す
- 何回転で固定されるかを確認する(回転数確認と同時に両クランクの高さがあっているかを確認)
- クランクを取り外し、シールテープを密着させながら5~6回巻き付ける
- 確認した回転数よりも1回転少なくクランクを回す
- 片側のクランクは完全に回しきらず、への字の状態にする
- への字にしたままの状態で、新しい水栓を取り付ける
- 両方のナットを軽く締め、片側のクランクを時計回りに動かして水平にする
- 水平になったらナットをしっかりと締める
- 止水栓、元栓を開け、水漏れが起こっていなければ完了
交換時の注意点
クランクに取り付けるシールテープにゆるみがあると、水漏れの原因となります。
取り付ける前にクランクが何回転目で固定されるのかを確認し、実際に固定する際はシールテープの厚み分を差し引きましょう。
例えば、シールテープなしの状態で、5回転目で固定されるのなら、シールテープの厚み分として1回転を差し引き、4回転させて固定するといった感じです。
シールテープを巻き付けて設置する際、回し過ぎたからといって戻したりするとゆるみが発生し、そこが水漏れの原因となります。
逆回転させてしまったらシールテープを巻き付けるところからやり直してください。
まとめ
ここまでキッチンにある水道、シングルレバーの交換についてお伝えしてきました。
シングルレバー混合栓は現在、多くの一般家庭で使われている水道で、操作がしやすいというメリットがあります。
しかしながら、操作時に水道本体に負荷が掛かりやすく、耐用年数の10年を迎える前に水漏れが起きたり、操作性が鈍くなる等のトラブルが起こることも少なくありません。
新品の物に交換するとしても、修理の費用とコストパフォーマンスはそれほど変わりませんし、自身で作業を行えば部品代のみで交換できますので是非やってみましょう。
交換作業で失敗しないためには事前準備が大切です。
必ず、キッチン水道の取り付けタイプと取り付けサイズを確認し、それに合うタイプの水栓を購入してください。
台付きタイプの交換は給水管との接続が少々難しいポイントとなります。
取り付ける部品と手順を間違えないよう気を付けましょう。
壁付き混合栓はクランク部分をしっかり固定しないと水漏れの原因となります。
シールテープは引っ張りながら巻き、回転数に気を付けて設置しましょう。